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熱がでた、咳・痰、鼻水、喉の痛み、だるい

ヒトの体温は脳にある視床下部によって37℃前後に調節されています。
この設定温度をセットポイントといいます。
ウイルスや細菌などに感染すると、免疫細胞が発熱物質を出して病原体が体内に侵入したことを視床下部に伝えます。
そして免疫を活性化させるために、視床下部のセットポイントが37℃より高く設定され、筋肉などの組織に発熱するように指令が出されるのです。

風邪で発熱するのは身体の防御反応で、病原体の増殖や活動を抑えたり、免疫細胞を活性化させたりする働きがあるため、無理に熱を下げようとする必要はありません。
むしろ風邪のひきはじめは安静にして保温することで上手に体温を上げた方が病原体との戦いでは有利になるでしょう。
通常、数日で風邪は収束し、視床下部のセットポイントは37℃前後に下がりますが、このとき大量に発汗して解熱するパターンが多いです。
もし数日経ってもあまり汗をかかないまま高熱が続くようであれば、肺炎や腎盂腎炎など臓器障害を伴う細菌感染であったり、悪性腫瘍や自己免疫疾患など感染症以外の疾患であったりする可能性がありますので、医療機関を受診しましょう。

鼻水・鼻閉

鼻は呼吸するときの空気の通り道ですが、取り込む外気は体温よりも低温で乾燥していることが多く、微生物やホコリなどが含まれるため、身体への負担は少なくありません。
そこで、加湿空気清浄機のように外気を鼻腔内で温度を調整・加湿するとともに、微生物やホコリなどを鼻毛や鼻水などで除去するといった処理をしてから肺に送ります。
鼻腔内では常に粘液が分泌されていますが、鼻粘膜に微生物やホコリなどの異物がくっつくと、それを排出しようとして粘液が多量に分泌されます。
これが、いわゆる鼻水で、身体にとっての異物を排除するための自然な防御反応です。
なお、鼻水以外にも、鼻や口から勢いよく空気を吹き出すことで異物を排出する「くしゃみ」や、鼻腔が腫れて狭くなることで異物の侵入を防ぐ「鼻づまり」なども、異物からの防御反応であり、これらは総称して「鼻炎症状」といいます。

花粉やハウスダストのように身体にほとんど害がないような物質でもアレルギーによって鼻炎症状がおこることもあります。
また、詳しい機序は不明ですが、季節の変わり目などに温かい室内から寒い屋外に出たときに鼻炎症状がでる血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)もあります。

咳・痰

気管・気管支も鼻と同様に微生物やホコリを排除する生体防御システムがあります。
気道にあるセンサーが異物などを感じると、その刺激が脳にある咳中枢に伝わり、異物を排出するために咳が出ます。
また、鼻と同様に下気道も常に粘液が分泌されており、肺の中に溜まらないように上皮細胞表面の細かい線毛が協調して、気道分泌物を下から上へ運び上げています。
しかし風邪などによって気管支や肺に炎症が起きると、気道分泌物が増えて粘度が増し、線毛の動きも悪くなるため痰として溜まりやすくなります。
そうして溜まった痰は咳によって喀出されます。

咳は痰を伴うか伴わないかで下記のように大別されます。

① 乾性咳嗽

痰のない空咳、もしくはごくわずかの痰を伴います。
気管支や肺の炎症が刺激となって出る咳です。
風邪などの感染症後の咳や咳喘息、アトピー咳嗽など気道が過敏になって生じるもの以外にも、胃食道逆流症や心不全、薬の副作用などでもおこります。
主に咳止めで治療します。

② 湿性咳嗽

痰を排出するための咳で、咳のたびに痰が喀出されます。
風邪・感冒に伴う気管支炎、気管支喘息、肺炎、副鼻腔気管支症候群などに生じます。
主に去痰薬で治療します。
痰を出しにくくすると肺炎などのリスクが高まるため、痰が多い場合は咳止めを処方しないこともあります。

風邪・感冒による咳・痰は通常、数日~1週間程度で自然に治まります。
咳が長引く場合(3週間以上続くものを遷延性咳嗽、8週間以上続くものを慢性咳嗽と分類)、肺炎や肺癌、結核、COPD、間質性肺炎、心不全、逆流性食道炎などの可能性があります。
咳が2週間以上続く場合や胸痛を伴う場合、血痰がでる場合などは早めに医療機関を受診しましょう。

喉の痛み

喉は鼻腔から食道や気管までの部位のことで、飲食物の通り道で嚥下機能を担っている咽頭と、空気の通り道で呼吸機能を担っている喉頭からなっています。
喉頭には飲食物が通過するときに蓋の役目をする喉頭蓋があり、気管内に異物が入らない仕組みになっています。
また、声を出す器官である声帯があり、発声機能を担っています。
喉の痛みを引き起こす主な疾患はウイルスや細菌などの感染による風邪・感冒です。
一般的には数日~1週間程で回復しますが、ときに悪化して喉の機能障害を合併することがあります。
特に膿瘍を形成したり気道に炎症が波及したりすると致死的な病態に進行するおそれがあります。

以下の症状を伴うときは速やかに医療機関を受診しましょう。

  • くぐもった声、かすれた声
  • 痛くて口が閉まらず、涎が垂れ流しになっている
  • 痛くて口が開かない
  • 痛くて首が回らない
  • 息を吸うと「グ~、グ~」と低い音がする
  • 息が苦しい
  • 首が痛すぎて前屈みになって顎を突き出している
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