寝られない
不眠症とは、良質な夜間の睡眠を十分に取ることができず、日中のパフォーマンスに悪影響を及ぼしている状態をいいます。
不眠症状は、①寝付きが悪い(入眠障害)、②夜間に目覚めてその後眠れない(中途覚醒)、③朝早くに目覚めてしまう(早朝覚醒)、④睡眠時間を十分に取っても眠った感覚が得られない(熟眠障害)があり、それによって仕事や学業のパフォーマンスの低下、集中力や記憶力の低下、やる気が出ない、情緒不安定など覚醒時の症状がひきおこされます。
原因となる疾患
身体的原因
病気や怪我などで痛みや痒み,息苦しさが続いて寝られない状態です。
夜間尿による覚醒も当てはまります。
睡眠時無呼吸症候群では熟睡障害に慣れてしまって不眠の自覚がほとんどないこともあります。
原因となっている疾患の治療や対症療法によって不眠症が改善されることが多いです.
生理的原因
睡眠を妨げる環境(騒音,明かり,暑さ・寒さ)や体内リズムの乱れ(夜勤,時差ボケ)を起因とした不眠症です。
眠りやすい寝室の環境づくりや規則正しい生活リズムを心がけることで不眠症が改善されることがあります。
心理的原因
悩みや不安、緊張などの精神的なストレスが原因で起こる不眠症です。
「眠らなくてはいけない」「何時間は寝ないといけない」と意識することでかえって寝付きを悪くさせてしまうことがあります。
精神医学的原因
うつ病や不安神経症,統合失調症などの精神疾患による不眠症状です。
病初期では不眠以外の症状がほとんどないことがあり「ただの不眠だと思っていたらうつ病だった」というケースもあります。
多くは薬物治療が必要となります。
薬理学的原因
薬の副作用や飲酒・喫煙、カフェイン摂取などが原因となる不眠症です。
抗がん剤や降圧剤、ステロイド薬などでは不眠症を合併することがあります。
眠気覚ましドリンクやエナジードリンクにはコーヒー数杯分のカフェインが含まれていることもあり,夜間に寝ると睡眠を妨げられます。
受診の目安
緊急性がある疾患があまりないため,まずはセルフケアで様子をみてよいと思われます。
月単位で不眠が続いている方や他に身体的・精神的な症状を伴っている方は医療機関を受診しましょう。