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首の痛み

首は頭と胴体をつなぐ部位であり、常に頭部の重みを支えながら、可動性・柔軟性も保つために7つの頚椎に無数の靱帯や筋肉が張り付いています。
さらに喉頭・気管・甲状腺などの重要臓器や生命活動に直結する神経・血管が狭い範囲に配置されており、とても複雑な構造を呈しています。
首の痛みの原因となる疾患も様々で、首の筋肉の凝りから致命的な疾患まで多岐にわたります。

原因となる疾患

筋膜性疼痛症候群

トリガーポイントと呼ばれる骨格筋や筋膜の過敏化した侵害受容器による慢性的な痛みを筋膜性疼痛症候群といいます。
悪い姿勢や繰り返し作業などによる筋肉の酷使によって、その筋肉に微小損傷がおこり、筋硬結が形成します。
筋硬結がおこった部位は血流が低下し、低酸素状態になり、サブスタンスPやブラジキニンなどの発痛物質が発生します。
一方で知覚神経の閾値は下がって痛みを感じやすくなります。
変形性頚椎症などでは頭の重さを適切に支えることができないため、首~肩の筋肉を日常的に酷使しています。
特に胸鎖乳突筋や僧帽筋、後頭下筋群はトリガーポイントを形成しやすく、首の痛みの原因として最も多いものです。

椎間板ヘルニア

椎間板は背骨を構成する椎骨の間にあるクッションの役割を担っており、中心部のゼリー状の髄核の周りを丈夫な線維輪が囲ったバウムクーヘンのような構造をしています。
椎間板ヘルニアは線維輪の一部が破れて髄核が外側に突出し、神経に触れたり炎症を起こしたりすることで発症します。
悪い姿勢や肥満などで脊椎に負荷がかかっている場合や加齢などで椎間板が弱くなっている場合に椎間板にヘルニアを生じることがあります。
椎間板ヘルニアは頚椎から腰椎までのどの部位にも発生しますが、頚椎椎間板ヘルニアの場合は首から上肢にかけての痛み・痺れを生じ、進行すると下半身の神経症状として歩行障害や膀胱直腸障害(頻尿、尿閉、失禁など)が出現することもあります。

感染症

頻度は少ないですが風邪などによる咽頭炎が喉頭や頚部に波及した場合、首の前側や横側に熱感・腫脹を伴った痛みが生じることがあります。
特に膿瘍を形成したり気道に炎症が波及したりすると致死的な病態に進行するおそれがあります。
声がでづらい、痛くて首が回らない、息が苦しいなどの症状を伴うときは速やかに医療機関を受診しましょう。

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎はウイルス感染などによって首の前方にある甲状腺に強い炎症がおこります。
前頚部の熱感・痛みを認めますが、甲状腺の一部が破壊されることで内部に貯めていた甲状腺ホルモンが放出されることで血圧上昇、動悸、発汗、不眠といった中毒症状を伴います。
これらの症状は1~2ヶ月ほどでおさまりますが、後に甲状腺機能が低下することがありますので早めに医療機関を受診しましょう。

椎骨動脈解離

首から脳へ血液を送っている主要な動脈は2対あり、首の前側を走行する頚動脈と頚椎を走行する椎骨動脈があります。
椎骨動脈は外傷やスポーツ、整体マッサージなどで首を強くひねると解離することがあり、突然の激しい頭痛や後頚部痛をきたします。
解離の部位が限局している場合は痛みだけですみますが、解離が拡がって血管を閉塞した場合は、脳梗塞やくも膜下出血を合併して致死的な経過を辿ることがあります。

心筋虚血の関連痛

組織に加わった侵害刺激は脊髄に伝わり、脊髄から大脳皮質へと伝達されて「痛み」として感じるようになります。
痛みを感知する受容器にはいくつか種類があり、チクッとするような鋭い痛みだけを伝える神経線維や機械的刺激に加えて化学的刺激や熱刺激も合わせてズーンとした鈍痛を伝える神経線維など、痛みが伝わる経路も複雑です。痛み刺激が神経細胞から別の神経細胞に伝わるとき、神経伝達物質を放出して信号をやり取りするため、ときに別の経路に混線してしまうことがあります。
そうなると侵害刺激が加わった部位とは全く別の所に痛みを感じるようになり、これを「放散痛」や「関連痛」と呼びます。
心臓は関連痛が起こりやすい臓器として知られており、狭心症や心筋梗塞などで首や顎、肩、左上肢、上腹部などに痛みを感じることがあります。
胸痛は一切なく、歯の痛みのみで受診され、狭心症と診断されたケースもあります。

受診の目安

首の痛みの原因の多くは筋膜性疼痛であり、セルフケアで対処することができます。
しかし以下の症状を伴う場合は重篤な疾患である可能性が否めないので早めに医療機関を受診しましょう。

  • 熱感を伴う首の腫脹
  • 突然の強い後頚部痛
  • 手足のしびれや動きにくさがある
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