メニュー

変形性股関節症

変形性股関節症とは

骨と骨がつながる部分を関節といい、ヒトの身体の基本的な動きを支えています。関節の表面にはクッションとなる軟骨があり、関節内部は潤滑液となる関節液で満たされています。これにより、関節は荷重がかかりながらもスムーズに動けるようになります。変形性関節症では、関節軟骨が摩耗することで骨と骨のすき間が狭くなって内側の骨があらわになり、骨が変形して縁にトゲのような突起物を生じて痛みや関節液の貯留を生じます。股関節は、体重を支える、歩く、立ち上がる、しゃがむなど、下肢や腰の動きを支える重要な関節です。変形性股関節症では関節の動きがスムーズでなくなり、歩く、立ち上がるなどの日常動作で痛みが生じます。

なぜ変形性股関節症になるのか

関節軟骨では、古い軟骨が新しい軟骨にゆっくりと置き換えられる新陳代謝が行われています。この新陳代謝のバランスが崩れると関節軟骨がすり減っていき、変形性関節症を発症します。変形性股関節症の主な原因は加齢ですが、これは老化によって軟骨細胞が新しい軟骨を作るスピードが落ちることでおこります。肥満や関節炎、過去の外傷などでは軟骨が破壊される要素が大きくなって変形性関節症を来します。また、出生後から乳児期までの股関節のつくりに異常がある場合も変形性股関節症の主な原因となります。股関節は、球状の大腿骨頭に骨盤側の寛骨臼が覆い被さる構造をしています。しかし、大腿骨頭の被り方が浅いまま成長してしまうと体重を支える面が少なくなるため、年齢を重ねるとともに股関節の軟骨が摩耗して変形性股関節症を発症します。

放置するとどうなってしまうのか

軟骨は血流が乏しい組織であり、血流のある組織と比べると再生するスピードは非常にゆっくりです。そのため、変形性股関節症は基本的に少しずつ進行していく疾患と考えたほうがよいでしょう。

初期では立ったり歩いたりすると、股関節に違和感や軽い痛みを感じるようになりますが、安静にすると症状は消失します。そのまま放置すると長時間の歩行や階段昇降など負荷がかかる動作で明確な痛みを感じるようになります。末期になると軽い負荷をかけたときだけでなく安静時でも痛みを感じるようになります。股関節の痛みや可動制限によって歩かなくなり、体重増加や下肢筋力低下を来すという悪循環に陥り、寝たきりになることもあります。変形性股関節症は進行すると脚をまっすぐに伸ばせなくなり、脚の長さに左右差が生じることもあります。

どうすればいいのか

体重が重い方は減量し、股関節への負担を軽くしましょう。痛みによってなかなか運動しづらいと思いますが、エアロバイクはシートの高さを調節することで股関節に負担をかけずに運動することができます。また、プールでの水中ウォーキングもお勧めです。食事内容を見直すことも重要です。

大腿周辺の筋力を向上させることで変形性股関節症の進行を遅らせることができます。股関節に負担をかけすぎると逆効果になってしまうので運動器リハビリテーションなどで専門家の指導のもと運動療法を行います。

減量や筋力強化でも痛みが続く場合は鎮痛薬などで痛みや炎症を抑える治療を行います。痛みを抑えることは生活活動度やリハビリ効率を向上させることにつながります。それでも症状がコントロールできない場合は、手術を検討します。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME