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受動喫煙

近年、受動喫煙の健康被害が広く認知されるようになりました。

東京オリンピック開催前の2020年4月に健康増進法が改定され、多くの施設で原則屋内禁煙になるなど、受動喫煙を防止する対策がとられるようになっています。

しかし「タバコの煙がなければ大丈夫」という誤解は、いまだに多くの人にみられ、タバコ会社も煙の目立たない加熱式タバコ・電子タバコを開発して安全性をアピールしています。

喫煙者が立ち去りタバコの煙が霧散しても、PM2.5やthirdhand smokeなどの影響が残り、決して安全ではないのです。

 

受動喫煙

受動喫煙となるタバコの煙は、燃焼しているタバコそのものから発生する煙(副流煙)と、喫煙者の口から出てくる煙(呼出煙)があります。この煙を喫煙者以外の人が吸ってしまうことを「受動喫煙(secondhand smoke)」といいます。

受動喫煙は癌・心疾患・脳卒中などの25の疾患と関連し、日常的な受動喫煙により総死亡や癌・心疾患・脳卒中による死亡リスクが20%増加します。

妊婦および乳幼児,小児に対する受動喫煙は次世代の健康に大きく影響します.特に乳幼児突然死症候群と小児喘息は親の喫煙本数の多さと強い相関を示します.

また、受動喫煙には安全域はないとされ、少し煙の曝露でも疾患リスクにつながる可能性があります。

三次喫煙

タバコ煙が壁・衣類・カーテン・家具などの屋内設置物の表面に付着し、再気化して空気中に拡散し、それらに曝露されることを三次喫煙(thirdhand smoke)といいます。

ニコチン由来の発癌物質とシックハウス症候群を引き起こすベンゼン,トルエン,アセトンなど多くの有害化学物質を含み、それらへの慢性曝露がDNA損傷、糖尿病、脂質異常症、脂肪肝、創傷治癒遅延、多動症などを引き起こすことが動物実験で報告されています。

thirdhand smokeに含まれるNNALにはDNA strand切断による遺伝毒性があると報告されています(Mutagenesis 2013; 28: 381-391)。

thirdhand smokeはいわゆるタバコ臭としてされますので、ヤニ臭い部屋に入ることは三次喫煙を受けることになります。消臭スプレーなどでヤニ臭さを消してもthridhand smokeの有害成分は消えません。その場に喫煙している人がいなければ健康への影響は問題ないとの考え方は完全に間違っています

 

化学物質過敏症

吐出煙と副流煙の混合を環境タバコ煙(enviromental tabacco smoke: ETS)といい、それに含まれるホルムアルデヒド、ベンゼン、トルエン、フェノールなどが化学物質過敏症を引き起こすとされています。

環境タバコ煙による化学物質過敏症は女性に多く、不定愁訴様の多様な訴えがよくみられるため、自律神経失調症や更年期障害、身体転換障害、アレルギーなどと誤診されることが多いです。

化学物質過敏症は非アレルギー疾患であり(血中の好酸球数やIgEなどは正常)、薬物療法は無効で、環境改善でしか対応できません。

 

PM2.5

PM2.5とは、大気中に浮遊する大きさが2.5µm以下の微小粒子状物質のことをいい、タバコの煙にも大量に含まれます。PM2.5は大気汚染の指標の一つで、1m3中の直径2.5µm以下の微粒子重量(µg/m3)で表されます。

PM2.5はさまざまな疾患の死亡率と関連しており、年間のPM2.5レベルが10µg/m3増加するごとに全死亡率が6%、心肺疾患死亡率が9%、肺癌死亡率が14%増加します。

WHOでは年間平均で10µg/m3、24時間辺り25µg/m3を許容限度としていますが、喫煙家庭では50µg/m3であり、明らかに有害レベルです(非喫煙家庭では20µg/m3前後)。

なお、分煙対策が行われた飲食店でもPM2.5は数百µg/m3に達するため、分煙が安全と健康を保障する対策とはいえません。

 

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